人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

恋人のいない若者たち

2012/01/10

同じ隘路に

●老いの自覚
 昨年ほど自分が歳かもしれないと実感したことはなかった。疲れが出やすくなったのである。
 ある40代の社長と朝から営業に回り、夜は宴会、翌日は1日中ゴルフ。これが効いて、しばらくしたら大風邪を引いて、声が出なくなった。
 司馬遼太郎さんが、クルマから降りるときに手を出されて、老いを感じたと書いておられたが、私の場合は体力の減退で老いを悟ることになった。

●営業力=パワー
 渥美清さんの評伝(大下英治『知られざる渥美清』)を読むと、こんなエピソードが紹介されている。
 浅草時代の話、渥美さんが舞台に出ると、ドカンドカンと受ける。芸人仲間もソデで見るぐらいの抜群の面白さだったという。それが、今日はどうもウケない。いつもと変わりがないはず、と本人は思う。仲間が、顔色が悪い、病院で診てもらったらどうか、と言うので診察に行くと、そのまま重症の肺結核で即入院。この生死の定めぬ経験が後年の渥美さんの核になる。
 私は営業も一緒だと思う。同じセールスでも、パワーがあれば通じることも、減退すれば通じない。渥美さんは仕事を絞り、ムダな付き合いをしないことで、人生の後半を乗りきろうとした。その姿勢に学ぶことが多い。

●別世界
 ハワイへ行って歩いていると、歩幅の狭い私のほうが腰高の外人を追い越していく。せっかくのリゾート地に来ても、東京の癖が抜けないのである。
 携帯にメールが届く、電話が入る。どこにいても仕事モードが追いかけてくる。
 ホテルの窓から見えるのは、あくまで青い海とビーチで日光浴をする人々。
携帯が背後で鳴っている。出ようか出まいか、強い日差しに目を細めながら考えている。

●英語でごまかすな
宋文洲さんがブログで面白いことを書いていた。なぜTPPだFTAだと横文字ばかり使うのか、と。環太平洋戦略的経済連携が長いなら環戦経、自由貿易地域なら自貿域とかなんとか、漢字にも省略の妙があるはず(省略語はby奥谷)。
 コンプライアンスも「嘘つきは泥棒の始まり」でいいではないか、と宋さん(これも略して嘘ドロ)。訳の分からない横文字を使っているから、オリンパスや大王製紙のような問題が起きる、という指摘には深く頷いたものである。
 先人たちが、economyを経済と訳し、libertyを自由と訳した苦労と工夫を日本人は忘れ、同時に自立の精神も忘れたか。

●音声自動券売機
 私は駅に行くと、切符の買い方が分からず、必ず駅員に訊くことになる。後ろの人を待たせて、路線図とにらめっこするのが悪いからである。
 これは私のたっての希望なのだが、券売機に音声で行き先を告げると、自動的に路線を表示する仕組みを作ってほしい。値段と時間を見て、好みのものをタッチすれば切符が出てくる──こんな機械が欲しい。
 高齢社会になって、切符の買い方が分からず、家に引きこもる人が増えたら経済的にも損失である。どなたか真剣に考慮してもらえないものか。

●方向違い
 JALのエグゼクティブクラスに乗って残念な経験をした。リクライニングがまともに動かないのである。それに加えて、機内食のおいしくないこと。
同社は喜ばしくも黒字を達成しそうだという。いろいろとサービスの質を落とした結果だと思われる。
 向いている方向が逆ではないのかと思う。もっとお客を歓待する新サービスを考案し、それで黒字を達成するのが筋ではないか。今のままではかつてと同じ隘路に入り込む、と思うのは私ばかりではないだろう。

●絶句
 高校生の男子43・6%、女子58・4%が将来なりたい職業がないと答えている。それに18~34歳の男性61%、女性50%が交際相手がいず、そのうち男性28%、女性23%が交際を望んでいない、という調査もある。
 身近な若者男子に交際相手を訊いたら、いない、と言う。風俗は? と訊くと、家で男友達と飲んだほうがいい、との返事。
 私は天を仰いだまま絶句。


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