人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

仰げば尊しって貴重 泣き笑い落語

2007/08/01

●Wikipediaの害
 パソコンで単語を調べると、まずウィキペディアが最初に来る。どういうわけが私のことも書かれている。中傷目的で書かれただけの、事実無根の記述が掲載されている。
 ウィキペディアは投稿者の合作によって出来上がるウェブ上の百科事典みたいなものである。
 朝日新聞のしばらく前の記事によると、ウィキペディアと有名百科辞典(不確かだが『オックスフォード大辞典』)の項目を比較検討したところ、質的な差はなかった、ものによってはウィキペディアが勝っていた、という。
 しかし、ある個人、それも生存している個人に関して、バイアスのかかった、誤った記述が野ざらしで掲載されているのは問題ではないのか。それを閲覧して信じてしまう人だっているはずである。
 ウィキペディアの運営者が誰だか知らないが、その人に訊いてみたい。あなたのデタラメの中傷記事でも平気で載せたままにしておくのか。
 
●志の輔落語
 立川志の輔といえば「ためしてガッテン」の司会者だが、いま注目の落語家でもある。渋谷パルコの1ヵ月公演が即売する人気だという。
  その様子をWOWOWが放映した。5つの話を聞いたが、「中村仲蔵」という歌舞伎役者の話がいちばん充実していたように思う。
 枕に時事ネタを振るのだが、いま一つこなれていない恨みがあるのと、しゃべり方がセカセカしているのが気になった。それと、時折、せりふがスッと出てこない妙な間がある。
 しかし、下っ端から役者魂で一枚看板にのぼっていく仲蔵の様子は、得心のいく語り方で、志の輔落語はこういうじっくり聞かせるところに妙味があるのではないかと感じた。
 私の聴いた5つの話のうち3つは、笑いながら泣くという珍しい経験をした。志の輔落語、別名「泣き笑い落語」と命名する次第である。
 
●惨敗の敗因
 参議院選挙は自民党が大惨敗。いろいろな要因が取り沙汰されたが、その一つに赤城元大臣のバンソウコウが挙げられていたのには笑ってしまった。私は、安倍首相の第一声が秋葉原と聞いて、年金が争点なのになぜ若者の街なのかと不思議に思ったものだ。
 大敗後、石破茂氏のようなまともな政治家がいることが分かったことが、せめてもの救いだった。ただの軍事おたくではなかったのね。
 
●他人の金を扱うな
 うちに派遣の登録に来た若い女性が、前の会社で厚生年金を払っていたが、会社側が支払っていなかったので、未加入だったと言う。
社会保険庁に電話で問い質した。
「そういう会社からなぜ徴収しないのか。被害者の救済はどうするのか」
保険庁いわく、
「取れるところから取って補てんしますから」
この腐り方はハンパではない。OBのボーナス返上ではすまされない。そもそも彼らは他人のお金を扱ってはいけない人たちなのだ。
 
●けじめの男
 品格については前にも書いたが、言い足りないことがあるので、また取り上げることとする。
  白州次郎がらみの本が出ているが、一般的感覚で言えば、偏屈で、風変わりな人ということになるだろう。
 彼は運転手つきの車に乗っていたが、必ず助手席に座ったという。後ろでふんぞり返る身分ではないというのがその理由。
 マッカーサーへ天皇のみやげを持って行ったところ、あいだの人間が「そこに置け」と言ったので、礼儀をわきまえろ、と諭したという。
 こう書いているだけで、心に高い調子が流れてくる。言うべきときに言わずして品格が出るとも思えない。
  世の品格論にはそのことが忘れられているのではないだろうか。
 
●わが師の恩
 夫はかつて東工大で助教授を勤めたことがあった。当時の教え子と東大の教え子が 100人位集まって還暦のお祝いをしてくれた。私は三歩下がって妻の役を演じながら、仰げば尊しって貴重だな、日本に唯一残った美風ではないかと別のことを考えていた。業界が違うと異風を敏感に感じるものである。


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