「細雪」の花見 潰れる条件
2007/03/01
●ドアマンもいないセレブ
ある雑誌で「芦屋のセレブ」特集を組んでいた。かの地のお嬢様は、お茶やお花のお稽古に通っているという記事だったが、それのどこがセレブなのか、とんと分からなくなった。
少なくとも私のいた頃はふつうの家庭でもそれくらいのことはやっていた。
格差社会と言われ、いろいろなデータが出ているようだが、他の国に比べればコップの中の嵐程度のことで騒いではいないか。
あの六本木ヒルズにしてもドアマンはいないし、車は自分で駐車しないといけない。欧米とはずいぶん違っている。
ホームレスの人を都営住宅に入れたところ、自由がないと言ってブルーテントの仲間のところに戻ったという話もある。焚き火を囲んで焼酎を飲んでいるほうが幸せなのだと言う。
これは別に格差が広がればいい、という話をしているのではない。少なくとも結果平等では日本は元気な国にならない、競争が起きる社会にしようということで一連の改革が始まったはずである。それが、ちょっと格差が出ただけでこの騒ぎ方である。行き過ぎた面は改良しないといけないが、方向性はそう間違っていないという確認と覚悟がいるのではないか。
●時効は必要?
なぜ殺人者に時効というものがあるのだろう。辛い思いをして15年も潜伏していたのだから許してやろうということか、あるいは天晴れ逃げおおせたご褒美か、追跡費用がいつまでもかかるという経済的な理由からか、証拠保存に限りがあったからか。
先頃、金のために人殺しをした人間が年金欲しさに、時効を待って名乗り出てきた一件があった。こういうのを破廉恥とか浅ましいとか言うのだろうか。
いずれにしろ高齢化がこれだけ進んだのだから、それに合わせて時効も長くする必要があるように思う。あるいは、時効なしという選択肢もある。そうしたら、途中でギブアップするケースも増えるような気がする。
●腕前拝見
都知事選に浅野史郎前宮城県知事、それに建築家の黒川紀章氏などが立って、賑やかになってきた。なかでも改革派知事として実績のある浅野さんは東京の顔となったとき何をしてくれるのだろうか。石原さんは「(浅野さんは)東京っ子、江戸っ子には似合わない」と舌鋒鋭いが。
東京とはお金のたくさんある自治体である。それを何に使っていくかは、どの候補者も手腕の見せ所である。それにしても、もうオリンピックではないとは思うのだが。
●江戸のコミュニケーション
大都市・江戸の商人たちが考え出した作法が「江戸しぐさ」。
雨の日、すれ違いに傘を右に傾けるのが「傘かしげ」。あるいは、「こぶし腰浮かせ」。これは電車で席を空けるときに、こぶし1つ分腰を浮かせ、横にずれることを言う。なんと細やかで、粋なはからいだろう。さすが当時、世界一の都市の知恵である。
●フルコース
ある老舗雑誌の奨めるイタリアレストランへ夫と出かけた。7時オープンに5分早いというので、寒風のなかで待たされた。やっと席につくと、ひと皿ひと皿が遅い。量も少ない。店主が能書きを言い、値段が高い。店の潰れる条件がフルコースだった。
あまりに空腹なので帰りにラーメンを食べた。こっちの方がどれだけおいしかったことか。仕返しのように、もやしラーメンににんにくをたっぷり入れた。
●もう葉桜?
一度も雪の降らなかった東京は、桜の開花も例年よりも早そうだ。3月20日頃だという。そう聞いただけで、心が浮き立ってくる。
ところが、サクラの名所・千鳥ヶ淵の側に会社があるにもかかわらず、花見をゆっくりしたことがない。葉桜になってから、ああ、今年も桜の季節が終わってしまった、と落胆するばかり。
子どもの頃は、花見は家庭行事の1つで、母が作るお弁当が楽しみだった。それと、今年はどこへ花見に連れて行ってくれるかと気をもんだものだ。思えば桜とは長い付き合いである。
谷崎潤一郎の『細雪』は、姉妹で着物を着飾って、嵐山、円山公園と花見に出かける様子が艶やかに描かれているが、さて、いつになったらそんな花見ができることやら。
