2つの戦争 いいとこ突いた
2006/07/01
●2つの戦争があった
今年の大宅賞を取った『散るぞ悲しき』という作品を読んだ(梯久美子著)。2万人余の兵隊が犬死にさせられた硫黄島の指揮官栗林忠道を扱っている。読み進めながら、涙を禁じ得なかった。死ぬために任地に向かった兵隊たち、それをいとも簡単に見捨てた大本営。同じ戦争と言っても、実は2つの戦争が並行してあったとしか思えない。
アメリカ軍に多大な損害を与えたことで、栗林の名は日本よりもアメリカで高い。硫黄島の捕虜は、畏敬の念をもって遇せられたという。
栗林は家族宛に手紙をまめに送っている。些細な家事について触れることが多く、きっと生き地獄にいる彼にすれば、それこそが唯一の救いだったのではないかと思われる。本書の反響は大きいと聞く。硫黄島で亡くなった方々は、果たしてA級戦犯と一緒に祀られることに同意をするだろうか。
●グッド・チョイス
にせ画家問題が世情を騒がしている。絵を見ると、明らかにコピーである。つい似てしまったというレベルではない。それにしても何十年も発覚しなかったことが不思議である。あれがピカソならすぐにバレたろうか、こっちも平山郁夫なら露見が早かったろうか、と不謹慎なことを考えた。
ある意味、和田某はいいところを突いたということになろうか。パクっても日本で評価されるような絵でなければ意味がない。すぐにネタ元が分かっても良くない。絶妙なチョイスだったと言えるかもしれない。
だから文化庁は「いいとこ突いたで賞」あたりを献呈すればよかったのに。
●海外でナショナリスト
愛国心を教育基本法にうたう改正案が国会に提出されたが、愛国心を持ったら、何がどう変わるというのか。国のやることなすことを褒めるのが愛国心か。国のだめなところを指摘すると、非愛国心ということになるのか。通信簿で愛国心評価を行っている小学校が急増。評価の仕様がないから止める予定、というところもあって、教育現場は困っている様子だ。
よく海外へ行くと、日本の良さに気づくという。愛国心を強制するより、子供たちを海外旅行や留学をさせたほうが早いのではないか。バリバリのナショナリストができあがるかも。
●ジェネリック問題
知り合いが病院に定期検査に行き、担当医から「前回、ジェネリック使用可に印を付けておきましたが、どうなさいました?」と聞かれたという。
「いえ、出ませんでした」と答え、薬局でそのことを言うと、自己申告がないと出さない、との返事。ジェネリックとは特許の切れた薬のことで、開発費用がかからないので、値段が安くなる。昔はゾロ新(ぞろぞろ出てくる新薬)と言われていたものである。
おかしな話である。同じ効きめで、割安のものを選択しない人がいるのだろうか。医者がOKと書いたら即出すのが筋というものであろう。
「もうあそこの薬局には行かない」知人の弁に頷いた私である。
●真逆の報告書
何がどうなっているのか、NHK受信料義務化なる案が、自民党の通信・放送産業高度化小委員会というところの報告書に盛られたという記事が新聞に載っていた。そんなバカな、である。
NHKの堕落は、人のお金を税金のように使っているからで、有料化して、民営並みに頑張るか、要らない番組を大幅にカットして、国営の名にふさわしいものにチェンジするか、選択肢は2つしかないと思っていたのに、あろうことか義務化だと。
この間の不払いにも罰則を設けて、徴収するつもりではないか。NHKに心があるなら、そんなバカげた案はご遠慮します、と言ってみてはどうか。少しは評価が上がるだろう。
●本能サピエンス
うちの夫はパソコンに向かって仕事をしている以外は、食べるか寝るかである。あとでお腹が空くのか、チョコレートやクッキー、おまんじゅうなどを欠かさない。
まるで何か大きな動物を飼っているようなもので、いわば私は食料補給係、ふだん頭を使っているので、あとは本能で行こうと思っているのか。ゆえに本能サピエンスとも命名している。
