人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

数学と実生活 まともな議論を起こす人間はいないか

2006/01/01

●サヤ抜きが慣例
 数年前、違法建築の横行が盛んにテレビで放映された。床が傾きリンゴがころころ転がる、壁がカビで急速に黒ずむ、化学資材で喘息を引き起こす-ほとんどが費用を浮かせてサヤを抜くためになされたものだった。
 ひと騒ぎが終わると、その種の報道が火が消えたようになくなった。ところが、今回の耐震データ偽造問題である。やはり体質は変わらないなあ、というのが第一印象だった。
 民間の審査機関が機能していなかったことが問題視されているが、審査機関をさらに審査する体制をとらないかぎり、この種の問題は常に発生する。人の安全にかかわる部分は性悪説を採るのがいい。
 だからといって、対象分譲マンションの建て替え費用まで公的に支援するのは、理屈に合わない。冷たい言い方になるが、住人は選んでそこに住んだのだから、一端もニ端も責任がある。ハズレくじを引いたら不運と諦めるのが人生というものではないか。日本ではそのへんがいつも曖昧になる。
 ただ、第3次被害の問題が気になる。
 
●短期移民賛成
 ある工場の話を聞いた。中国人だけのセクションを作ると、そこだけ生産性が高いのだという。実にまめに働き、放っておくといつまでも残業をやって帰らないという。短期間、一生懸命働いて、故郷に錦を飾るのが夢だという。彼らは本国に仕送りを欠かさない。
 外国人労働者問題と治安を絡めてうんぬんされることが多いが、彼らの働きぶりを見ていると、私は短期移民受け入れに傾いてしまう。送り出す現地で情実が発生する可能性を考えれば、日本に受け入れを審査する仕組みを作ればいいのではないかと思う。あの勤勉さには学ぶことが多い。
 
●団塊世代の今後
 団塊の世代がリタイアした社会がどうなるか、今のところ誰も予想がつかない。会社という枠組みがなくなるわけだから、今までのように一様というわけにはいかないだろうというのは、誰しも分かることであるが、ではどうなるかが分からない。
 1つ参考になると思ったのは、彼ら向けのツアーを組む場合、お仕着せは受けないそうで、初期の段階から一員となって作り上げていくほうが、成績がいいらしい。これは彼らの個人志向の表れだろう。
 ピアノやギターなどの楽器が売れているともいう。これは仲間とアンサンブルを組む楽しみもあるかもしれないが、長く会社や家族を背負って脇に置いていたものを回復したいということだろうと思う。映画に芝居に旅行に絵画、つまり趣味の復権である。
 かつて第二の人生を謳歌する先輩がいみじくも言ったことがある。「シニアのパイオニアになりたい」
 私が団塊の世代に期待するのも、そのことである。
 
●宗教団体優遇の怪
 宗教ブームだそうである。特に仏教だとか。本も新刊がいろいろ出て賑やかだそうである。
 よく日本を無宗教と言うが、新々々仏教を含めて教団はたくさんある。宗教加盟者を足すと人口を超えているはずである。正月、お盆と宗教行事に事欠かない。
 一神教が格上などというのは、迷信に過ぎない。それぞれの国にそれぞれの宗教があるだけである。
 ところで、問題はそこではない。なぜ、宗教法人に課税されないのか。巨大な伽藍を建てる財力があるのに、お目こぼしをする理由は何なのか。
 教団が貧しくて、それに帰依する信者も貧しいというなら、まだ分かる。あるいは巨大になっても、社会貢献に余念がないというのなら、分かる。
 その教団の恩恵がその教団の信者しか回らないというのであれば、やはり税金をいただくのが筋である。
 どういうわけかこの種のことがタブーになっている感さえある。誰かまともな論議を起こす人間はいないものか。
 
●数学者と計算
 うちの夫は数学者で、その道では名が知れているらしい。かの岩波でも本があるのが、その証拠だそうだ。
 その彼より私は計算が速い。パッパッである。もたもたしている彼を見ると、学問と生活の違いを実感する。


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