人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

参入障壁を低くせよ まるで吉本興業

2004/11/01

●フセインってどこの人?
 私の知人で、ビジネスでものすごいやり手がいる。しかし、そのほかのこととなるとトンチンカンのことが多く、時に爆笑させられる。
 ソウルに行ったときのこと。「ヨン様って日本語がうまいなぁ」と言うのである。ドラマが吹き替えだということを知らないらしい。さらに「板門店はどこや?焼き肉屋か?」その場にいた一同、氷りついてしまった。
 金正日の話からフセインになったとき、「フセインってイラン、イラクのどっちや」と来た。我々はお互いの顔を見つめ合った。まるで吉本興業のノリである。しみじみとビジネスの才と常識人の在り方とは、ずいぶん懸隔があるものだと思ったものである。
 
●日本風能力主義
 いま能力主義、評価主義導入の弊害が言われている。内部告発の本もベストセラーになっている。結局、個々人の能力をはかることはそう容易なことではなく、数字による目標管理に成り変わってしまったということらしい。
 アメリカでは上司の評価に部下が合意しない場合、上司の評価そのものに問題ありということになるので、一方的な評価に終わることはないという。
 日本にはチーム全体で目標を達成する風土が根付いている。個人の業績だけをピックアップするやり方には、やはり限界を感じないわけにいかない。
 しかし、常に外から新しい風を受けて、それで旧弊に変化を加えるのも日本の風土である。能力主義、評価主義の日本的な適応のスタイルも、いずれ見出されるのではないかと思う。
 
●仕事から学ばない人たち
 NHKがプロジェクトX展を開催し、そこで扱った企業から広告宣伝費をもらっていたという一件があった。プロジェゥトXというのは、ご存じのように成功か失敗かぎりぎりのところをくぐり抜けて、画期的な事業を成し遂げた企業の経緯を扱うもので、中高年ビジネスマンの圧倒的な支持を得た。
 それが、企画展となると、なんとみみっちいことになってしまうのか。一般の入場者から観覧料を取るのなら分かる。褒め称えた企業から協賛金をもらう神経が分からない。
 ひとは仕事を通して人生に必要なもろもろことを学ぶ。しかし、プロジェクトXからNHKの人間は何も学んでいなかったようだ。
 
●プロ野球の将来
 私は野球は門外漢だが、楽天のボードメンバーというのになっている。経営面からサジェスションできるものがあればいいということなので、名を連ねている。
 今回の一連の騒動を見ていて思うのは、古株の企業から見たらIT関連企業というのはエイリアンという感じではないかということである。基板はしっかりしているのか、胡散臭いことはしていないか、など危惧の念ばかり先に立つらしい。
 あまり参入障壁を高くすれば、プロ野球の新陳代謝を促すことは難しい。どこで線引きするかで、日本プロ野球組織の見識も問われる。
 いっそのこと楽天、ライブドア、既存球団の買収に手を挙げているソフトバンク、有線ブロードバンド、それにもう2、3加えてネットリーグを作ってはどうか。
 
●資本主義社会?
 西武鉄道の筆頭株主のコクドは、約100社ある「西武グループ」の"司令塔"だそうだ。それだけの会社を束ねる存在なのに、非上場で、経営実態は外部に不明とのこと。
 コクドは西武鉄道の株を1100人の個人名義を使って保有していたという。有価証券報告書に西武鉄道の持ち株比率を過小記載し、その公表2ヵ月前に大量の株売却を進めていたことも明らかになっている。
 やりもやったりである。資本主義社会とも思えない。証券取引所は何をしていたのか、引受証券会社の責任はないのか、公認会計士は何をしていたのか、など疑問、憤懣は広がるばかり。
 猪瀬直樹氏によると、創業者堤康次郎氏がそもそも今のコクドのような企業支配を是としていた人らしい。最近、辻井喬氏が大部の『父の肖像』を上梓した。それを読んで、この事件の背景に思いを馳せてみようと思う。


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