人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

鎧の内側の敏感な部分 どういうわけか健康ブーム

2002/11/01

●適用除外
 農協という組織がある。ふだん都市に住んでいる我々には縁の薄い存在だが、地方へ行けば空気のように普遍的である。農協は独禁法の適用除外になっている。その理由は何なのか、考えてもとんと分からない。農家にとって1社寡占のメリットは何なのか。そんな素朴な言い方をしただけなのに、農水省の官僚は滅相もないという顔つきをする。何かタブーにでも触れたような様子なのだ。
 私は好奇心旺盛だから、彼らの鎧の内側の敏感な部分を知りたいと思う。
 
●まだ戦後
 私が小さい頃はまだ町には戦争の臭いが残っていて、腕や足のない兵隊さんが病衣をまとって街頭にいたものだ。頭を地につけ、包帯でぐるぐるに巻かれた足を後ろに突き出した姿が今でも目にこびりついている。痛々しいという思いと、戦争犠牲者という言葉が浮かんだ。平成14年度で旧軍人遺族等恩給費が1兆1439億円となっている。同じような額のものを探すと、生活保護費とか治山治水対策事業費、住宅都市環境整備事業費などがある。恩給は15年以上軍務にあった者や、傷病軍人、遺家族に支給される。階級が高いと恩給も高い。最低年額56万円から最高341万円の開きがある。夫が亡くなれば、その半額が未亡人に支給されるが、再婚すれば消滅する。子どもは成人するまで支給される。
 それにしても、である。対象者や遺族の数が減り、子どもはみんなとっくの昔に成人に達している。なのにこの額である。自民党議員たちは軍恩連が大切だと言ってきた。戦後を長引かせている人間がいることは確かである。
 
●危機意識
 どういうわけか健康ブームである。ちょっと安めのフィットネスクラブなどできると、老若男女がどっと押し寄せ、プールもアスレチックも押すな押すな状態である。事情通に言わせると、異業種参入が激しく、中には大学が経営しているようなケースもあるという。彼は「プールの混み具合でクオリティが決まる」と言うが、適正人数を超えればサービスが悪化するのは当然のこと。
 この健康ブームを押し上げているのは、年をとって人の世話にはなりたくない、という中高年の危機意識ではないだろうか。なぜなら、心臓が弱くて散歩もままならなかったような老女までが、プールでウォーキングにするようになったという話を聞くからである。シニアのちょっとした動きが経済に響く。もうそんな時代に入っているのではないかと予感させる話である。
 
●相撲ワールドカップ
 相撲は明治に入るまでは、お化け屋敷や見せ物小屋と一緒の存在で、いわゆる悪場所に欠かせないものだったという(『開化と差別』)。それが天覧相撲をきっかけに地位が向上し、国技と称するようになった。かつて国技と言えば、囲碁のことを言ったそうだ。いまや外国人横綱、大関が当たり前の時代。国内場所は東京と大阪に限り、あとはハワイ、パリとやったらどうかと相撲通の人に言ったら、半可通はすぐそういうことを言うと怒られた。でも柔道や卓球は国際化した。あに相撲のみをや、と私などは思うのだが。
 
●デフレの理由
 ルイヴィトンの新しいお店に長蛇の列ができ、なかにはサラ金で借りてまで並んだ人がいる。個人のお金は、行き先を求めて血眼になっている。しかし、その財布を開かせるものがない。これがデフレの真因ではないのかと思う。


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