所帯じみてくる 政治家というボランティア
2000/07/01
●加齢のスピード
組織人は歳をとるのが早い気がする。周りに気をつかうことが多いからだろうと思う。デザイナーやイラストレーターといった職業の人は、全般に見た目が若い。服装もさりげなく時代に合わせているから、よけいに若い。それとオーナー経営者も若い。新しい業態のオーナーほど、世間の垢が落ちたような様子をしている。組織の人が若返るにはどうすべきか。やはり考え方から変えなくてはならないだろう。たいていのことは自分勝手でいきますよ、と。
●組織は腐る
戦後、自己責任を求めるより管理責任を問うことが急だった。個人に権限がない以上、仕方のないことだったのかもしれない。しかし、組織が自己防衛をし始めると、とめどがない。後ろ指を指されないように、ミスを犯さないように、ということで管理がきつくなる。ますます内部の人間は判断能力停止に追い込まれる。雪印乳業の事件もまさにそれだろう。ある高校の先生が、「学校はいま地獄みたいなものですよ。意欲的な先生ほど続けるのがつらい」と言った。組織が腐るとまともな人はいられなくなる。
このあいだテレビでアンジェ・ワイダ監督が、ポーランドには自分で判断し行動する人間がいない、と嘆いていた。日本も同じだ。
●浮動票の感性
政治家という仕事は究極のボランティアだと思う。犠牲を払ってまで誰が好き好んで日本を良くしようなどと考えるだろう。落選すればタダの人である。そういう部分って、今の若い人にも共感を呼ぶだろうと思う。今度の選挙で"浮動票"の人々は、そういった感性を働かせたのではなかったか。公募の新人が当選するのを見るにつけ、その感を強くした。
●不倫と可処分所得
不倫の品性を保つのに、個人の可処分所得が月に30万あるかないかが線引きの目安だという。それ以下だと、途端に所帯じみてくる。ある会社の幹部のごとく、不倫旅行の費用を会社に回すようなせこいことになる。不倫に非日常性が無くなれば、もう先が見えている。それを下支えするのが可処分所得だ-ある男性の身も蓋もない不倫論である。
●ナツメロ歌手夫妻
またテレビショッピングの話である。歌手の夫婦が出ていて、それなりに懐かしい。活躍の場が増えて良かったと見ていたら、夫のほうが明らかに手抜きである。司会者の問いかけにボーッとしたままだ。この人、仕事減るだろうな、などと考えながら画面を見るのも、テレビショッピング観覧の楽しみの一つである。
●本物よりそれらしく
浅田次郎『壬生義士伝』を読んだ。「鉄道員」と同じく、不器用な生き方しかできない男が主人公である。新撰組は、権力の空白期に武士たらんとした男たちの物語である。本物の侍がサラリーマン化していた時代だったから、いきおい彼らまがいものの方が真実味があった。いかに最期をそれらしく死ぬか、それが彼らの一大関心事だった。今でいえば、中途採用の社員と古参社員が破綻の決まった会社で一生懸命残務整理をやっているようなものか。
●男の自信
料理は妻がすべきと頑迷に思っている男性が多い。どこにそんな根拠があるのかと私などは思うが、それを当然と考える妻もいる。もし料理を作らないと、主人に愛情がないと思われる、というわけである。専業主婦ならともかくも、ビジネスウーマンでそういう人がいる。アメリカ人は、料理に手間隙かける日本の主婦を不思議がる。共働きならレンジでチンでいいじゃないか、と合理的である。宅配ピザだってある。コンビニ弁当だってある。妻の愛情を料理ではかるような男は、つまるところ自信がないのである。食は文化だと居直っても、嫌々作る料理に文化があるはずがない。
