人の自己実現と働きがい向上をサポート。如是我聞 人材の総合コンサルティング&プロデュースを手掛ける、ザ・アール代表取締役奥谷禮子の連載コラムです。

自然にやりましょ 大人の意見

2000/05/01

●反省
 前号で警察の不祥事について書いた。新潟県警本部長になったつもりでモノローグを綴ったが、警察擁護ともとれるとのご意見があった。筆力至らずで、反省しきり。
 
●50歳に
  50歳台に突入したら気落ちするのではないかと思っていたが、まったくその反対で、とても楽な感じがする。肩の力が抜けて、もっと地でいいんだと気づいたような......。日頃、辛口の方々が誕生日とミレニアムを祝う会を開いて下さった。50歳と正直に言わないで、年齢は相手が思うままでいいんじゃないか、という方がいた。それって励ましなのか慰めなのか。みなさん忙しい方々ばかり。時間を惜しむように話に花が咲いて、それぞれの人が主役のパーティーだった。
 
●当たり前でしょ
 妻が病に倒れたので、夫が公職を辞して介護に回る。妻が先立ったので、夫が家事・育児をする。それをマスコミは美談に扱う。いずれも女性が前からやっていることばかり。男にすれば大変な意識変革ということなのだろうが、その大仰さに無理を感じる。自然なことなんだから自然にやりましょうよ、と言いたい。理屈をつけて他人様に披露することではない。このあいだ雑誌でビジネスマンの出家を扱っていた。多大な期待をもって仏門に入らんとする人は、結局長続きしないで止めていくケースが多いとのこと。ではどういう人が長続きするかというと、気負いも、落胆もなく、淡々と日々を迎えることのできる人だという。何か先の話と響いてくるものがあるのではないだろうか。
 
●アメリカ型社会
 規制緩和とは町で外国の会社を見かける機会が多くなることだ、と分かりやすく解説してくれた人がいる。ではアメリカ型社会に近づくとどうなるか。精神科医と弁護士のニーズが高まる。競争で人の心は疲れ、個人主義の横行で訴訟沙汰が多くなるからである(たぶん)。アメリカには日本で言う人生論傾向の本が多い。その翻訳本が売れていることからも、日本がアメリカ型に近づいているのが分かる。かつては和魂洋才が近代化を乗り切る護符のようなものだった。和魂と聞けばあれかとみんなが思う基盤があればこそのスローガンだった。戦後はカイシャが和魂だったかもしれない。ではこの高度情報化社会で、和魂とは何?
 
●プライドを持つ
 大の男がやっても大抵の犯罪には驚かない。過去延々とやり尽くして、バリエーションが切れているんだと思う。しかし、女性や子供や老人がやると、青ざめる。肉体的、社会的弱者のはずが男顔負けにむごいことをやるからである。中学生がいじめ友だちから5千万円を巻き上げた事件は、まず子供世界の額ではないことにびっくりした。次に使った先が風俗などオヤジそのままで情けなくなった。被害少年が頼ったのは、入院先の患者のなかの父親がヤクザの組長という人らしい。警察も学校もあてにならず、この事件の最大の皮肉はここにある。 17歳少年によるバスジャックも主婦刺殺事件も、親の存在(加害も被害も)が見えてこない。途中で親のプライドの一つも見せていれば、どうにかなったろうにと思う。
 
●大人の意見
  10代のカップルが山林に赤ん坊を捨てた事件があった。テレビでコメンテーターが、産婦人科の先生に子供を産むにふさわしい人物か審査してもらう必要がある、とコメントをしていた。ジョークだと思ったが、そうではないらしい。社会人が犯罪を犯せば、社会人として適格か審査しろと言うのだろうか。この見境のない、聞いたふうな、責任感のない意見が、識者の意見として通るところに、いまの大人の不甲斐なさが凝縮しているように思う。大人が大人の意見を言うこと、それって大事なはずなんだけどなあ・・・。


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