市営地下鉄・西神中央駅から南へ徒歩約8分。緑豊かな西神中央公園の中にあ
る「神戸市埋蔵文化財センター」で、夏季企画展「中世の港湾都市 神戸」が
開かれています。神戸の中世にスポットを当て、当時の遺跡からの資料などを
通して、港町神戸の原型が形成された時代について紹介しています。入館は無
料。開催期間は8月29日(日曜)までです。
神戸には平安時代の末期、平清盛によって福原京が置かれ、平家の一門が住ん
でいました。古く奈良時代から海上交流の拠点として栄えてきましたが、特に
12世紀後半、平清盛が中心となって大輪田泊(おおわだのとまり)を修築し、
日宋貿易を推し進めた頃は、現在の港町神戸の原型が形成された時代とも言え
ます。大輪田泊は、現在の兵庫区和田岬(わだみさき)東方にあった港で、鎌
倉時代には兵庫津(ひょうごつ)と呼ばれるようになり、今日(こんにち)に
至る神戸港発展の基礎を築いてきました。
今回の企画展では、福原京との関連が深い祇園遺跡や、現在のJR兵庫駅から
南東に広がる兵庫津遺跡からの発掘資料などを展示し、港町神戸の変遷や生活
の様子をわかりやすく紹介しています。例えば、宴会で使われていたと思われ
る素焼きの陶器の土師器(かわらけ)、玳玻(たいひ)天目小碗を含む中国製
陶磁器、瓦など。瓦の中には、播磨産だけでなく、京都産のものも多く、この
地にいた人物が京都とつながりがあったことを証明しています。
(*備考 兵庫津は「ひょうごのつ」とも呼ばれます)
また、中世からの遺物が多量に出土している兵庫津遺跡からは、国産陶磁器、
輸入陶磁器、金属器類などを展示。その産地や種類も多岐にわたり、輸入陶磁
器には朝鮮王朝、中国、ベトナムのものなどが見られます。さらに中国銭を模
造した模鋳銭(もちゅうせん)や、無文銭を含む銭貨、刀装具のほか、硯(す
ずり)などもあり、中世の兵庫津に刀を差した人がいたことや、文字を書ける
人も多かった様子などが伺い知れます。
このほか近隣の港町、尼崎市の大物(だいもつ)遺跡や、堺市の堺環濠(かん
ごう)都市遺跡から出土した輸入陶磁器類、中世の貨客両用船の10分の1模型、
江戸時代初期の兵庫津を示す絵画資料も展示されています。こうした資料から、
はるか昔の風景や生活をひも解く楽しさを実感できるのが「学芸員による展示
解説会」です。8月21日(土曜)、13時30分から、展示資料の見方や歴史的な
背景について、わかりやすい解説を聞きながら「中世の港湾都市 神戸」を何
倍も楽しむことができます。
1991(平成3)年にオープンした神戸市埋蔵文化財センターでは、市内各地か
ら出土した遺物の調査、整理、収蔵、保管、展示を一貫して行っています。常
設展示「よみがえる神戸の歴史」や、年4回開催される企画展示のほか、収蔵
部門がガラス越しに公開されているのも大きな特徴です。収蔵展示室や遺物整
理室などは、室内に入ることはできませんが、周囲がガラス張りになっていて、
保管された数千点の遺物を通路から見学できるようになっています。また特別
収蔵庫には、湿度・温度管理が必要な木製品などが収蔵されており、こちらも
ガラス越しに見ることができます。
考古学に興味がある方も、歴史が好きな方も、神戸をもっと知りたい方にもお
すすめの貴重なスポットです。この機会にぜひ、神戸市埋蔵文化財センターへ
足を運んでみてください。
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