神戸ファッション美術館では、3月30日(火曜)まで、特別展示「モスリンと毛斯綸(もすりん)‐変貌する渡来布(とらいふ)の物語」を開催しています。
「モスリン」とは、もともとは、メソポタミア(現在のイラク)の都市モスルで織られた薄地の平織の木綿布のことです。これをアラビア人がモセリニと名付けて輸出し、フランスでモスリンと称されました。
「毛斯綸(もすりん)」は、日本では羊などの毛を梳毛した平織の織物です。
江戸末期にヨーロッパより輸入され、薄くて柔らかで発色の鮮やかな毛織布に人々は魅了されました。
今回の展示では、「モスリン」という同じ名前を持つ、コットンとウールで織られたそれぞれの布の持つ魅力について、日本の長襦袢や子ども着物、インドやフランスの宮廷衣装を中心に、製作工程などの関連資料など約200点よりご紹介します。
当初輸入品として日本に入ってきた「毛斯綸(もすりん)」は、明治期に入ると国内での染織加工技術の発達とともに製織が可能となり、庶民の着物や襦袢(じゅばん)、帯、子どもの着物などとして広く普及しました。明治後期には生産量および消費量は飛躍的に拡大し、大正期にはジャポニスムがもてはやされたヨーロッパへと輸出されました。
大正期から昭和初期にかけては、洋反物業者によって新しいモチーフと斬新な意匠が毎月発表されました。更紗模様や幾何学模様、チューリップやバラを描いた洋花模様など多彩な絵柄が、鮮やかな色彩で描かれました。絞り染めの一種である鹿の子絞りを、プリント技法を用いてデザインに取り入れているのも、モスリンの柄ゆきの特徴の一つです。
現在も行われている手捺染での染色工程や、ウールモスリンの製作関連資料や映像も合わせてご紹介します。
インドでは、「風をまとう布」と形容されるダッカ木綿を使った、極めて薄い布が生産されました。たおやかで繊細な生地はヨーロッパでも貴族の憧れの的となり、装飾品や宮廷衣装に用いられました。マリー・アントワネットも愛用 したシュミーズドレスは、その薄さや身体に沿ったラインから下着や夏の室内着にも思われますが、冬にも用いられた宮廷衣装です。インドから輸入された白いモスリン地のドレスは、それまでの重厚で、装飾的なローブにとって代わるほどに魅力のあるものでした。
また、西インドのグジャラートや東インドのベンガル地方の極細の綿糸で作られた布は、朝霧の中の湿度を伴わなければ織れないほどの、薄さと空気を含んだやわらかさを持っていたと言われています。ダッカモスリンは、金糸や銀糸を織り込んだもの、白糸でさまざまな技法を駆使した布で、4枚5枚と重ねても透けるほどに精緻な技術が感じられます。
会期中には、「野染め・みんなでモスリンを染めよう」「ロウ染めのモスリンスカーフを作ろう」のワークショップや、「モスリンを着てみよう」「ファッションショー」、ギャラリートークやミュージアムツアーなどを予定しています。
事前申し込みが必要なものもありますので、詳しくは下記ホームページをご覧ください。
本展覧会では特別に、着物でご来館の方は入館料が無料となります。
ぜひお着物でおでかけください。
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